« リケルメほどの選手を | トップページ | オランダ、なんとか勝つ! »

2007/09/12

映画『ホテル・ルワンダ』

 ちょっと前になるが、DVDを借りて映画『ホテル・ルワンダ』を見た。

 1994年にアフリカ中部のルワンダで勃発した「ルワンダ紛争」の実話に基づいた物語だ。ツチ族とフツ族によるこの民族紛争で、フツ族過激派が、ツチ族や穏健派のフツ族を120万人以上虐殺。その最中、ホテルマンのポール・ルセサバギナは1200名以上を自分が働いていたホテルに匿う。ルセサバギナの英雄的な行動を描きつつ、国際社会、国連やアメリカ合衆国の無反応を鋭く批判している。映画の詳しいストーリーはこちら

 そもそもルワンダはなぜこんな紛争に突入したのか。結局は19世紀以降のドイツ、第1次大戦後のベルギーによる植民地支配——イギリス張りの「分割して統治せよ」が遠因になっている。映画の公式サイトのヒストリーによると、ベルギーはフツ族とツチ族の容姿の差を利用し、よりヨーロッパ人に近い容姿のツチ族を経済的・教育的に優遇。1930年代から彼らに人種差別の思想がたたきこまれていった。「フツ族もツチ族も同じところに住み、同じ言葉を喋り、同じ宗教を信じ、人種間結婚もしていたので、歴史家や民族学者たちは、フツ族とツチ族を完全に異なる民族集団ととらえることはできないとしている」(映画の公式サイトより引用)。それなのに、この紛争、そして虐殺は起こった。国際社会の無関心は無責任としか言いようがない。

 現実問題として、ちょうどその頃のアメリカはソマリア内戦に介入して苦境に陥っていたため、ルワンダへの直接介入はありえなかっただろうが……。当時、ボクは新聞の国際面でルワンダ紛争と虐殺の記事を読み、どうしてここに国連軍を展開しないんだろう?と思った記憶がある。思っただけだから、ボクも無反応な国際社会のごく一部でしかない。

 ボクのその思いは、「カメラマンのダグリッシュは狂乱と化した街で精力的に取材を続けていた。彼の撮ってきた映像を観てショックを受けるものの、これが世界で放映されれば国際救助が来ると確信するポール。しかしダグリッシュの答えは違った。「世界の人々はあの映像を見て──“怖いね”と言うだけでディナーを続ける。」(上記サイト・ストーリーから引用)。まさにこれだった。ボクの場合はディナーじゃなくて、朝刊を読みながら「怖いね」「どうして国連は……」そう言いながらトーストを齧るだけだ。この映画を観て思ったのは何にもできない自分の非力さか?無責任さか?

 『ホテル・ルワンダ』はソマリア内戦を扱った映画『ブラックホーク・ダウン』(こちらはずいぶん前にDVDを借りて見た)に比べるとかなり見ごたえがある(というか比べようもないくらい)。『ブラックホーク・ダウン』は「アメリカ軍のプロパガンダ」とまでは言わないまでも、ただの戦闘描写の映画にしか思えなかった。米軍がソマリアに介入していった経緯とか、その後の経過とかそう言う部分の描写がまったくない。バックボーンとか、問題意識とか、問題提起みたいなものが見えにくかった。

 その点、『ホテル・ルワンダ』には今に続く問題意識が満載だった。

 中でもボクの印象に残ったのはルワンダの悲しみを歌うエンディングテーマ「Million Voices(ミリオン・ヴォイセス)」の一節だった。

If America, is the United States of America,
Then why can’t Africa, be the United States of Africa?

And if England, is the United Kingdom,
Then why can’t Africa unite all the kingdoms
and become United Kingdom of Africa?

「アメリカが、アメリカ合衆国であるのなら、どうしてアフリカに、アフリカ合衆国はできないのだろう?イギリスが、イギリス連合王国であるのなら、どうしてアフリカに、アフリカ連合王国はできないのだろう?」(そんな意味です)

 この歌がこの映画、いやこの現実のすべてのバックボーンを語っていると思う。

 それから当初日本の多くの配給会社がそっぽを向いていたこの映画の日本公開を実現させた方々の活動には頭が下がる。ボクが見たのはDVDだけれども、そもそも彼らの活動がなければ見られなかったのではないかと思う。少なくとも彼らは「怖いね」と言ってトーストを齧った訳でなく、実際に行動したのだから。

 と、言う訳でこの映画『ホテル・ルワンダ』は必見。そして「Million Voices(ミリオン・ヴォイセス)」は必聴。

|

« リケルメほどの選手を | トップページ | オランダ、なんとか勝つ! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/66468/16424110

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『ホテル・ルワンダ』:

» 『ホテル・ルワンダ』を観たぞ〜! [おきらく楽天 映画生活]
『ホテル・ルワンダ』を観ましたルワンダ事件(100日で100万人が虐殺された)を背景に、愛する家族を守りたいという想いをきっかけに1200人もの命を救ったホテルマンの行動を描いた実録社会派ドラマです>>『ホテル・ルワンダ』関連原題:HOTELRWANDAジャンル:社会...... [続きを読む]

受信: 2007/09/21 23:52

« リケルメほどの選手を | トップページ | オランダ、なんとか勝つ! »