中原の虹
ようやく『中原の虹』を読み終えた。相当前に『蒼穹の昴』を読んで、続けて『珍妃の井戸』を読み、しばらく空いてから『中原の虹』を手に取ったので、登場人物を思い出すだけで一苦労……。
そんな「苦労?」もあったけれど、小説としては非常に良くできていて明末清初と清末を交互に辿りながら、物語は進んでいく。大きなテーマは「長城」を越えるかどうかという話。かたやドルゴン、ダイシャン擁する女真族、かたや張作霖率いる満州馬賊。それにまるでドラゴンボールまがいの龍玉が加わって……。西太后や袁世凱の描写も面白い。
ただし、気になるというか、正直いらついたのがルビ。どういう基準で着けているのか分からないが、中途半端な「現地読み」風のルビが名前や役職名などに付いている。もっとも日本語読みのケースもあって紛らわしい。袁世凱は「えんせいがい」、孫文は「そんぶん」、張作霖は「ちょうさくりん」で良いじゃない。あの中途半端な中国語読みは却って読みにくい。
もっとも清の第2代皇帝ホンタイジの急死にまつわる解釈は非常に面白い。以前からホンタイジをなぜ「皇太極」と書くのか不思議に思っていた。しかも次の順治帝がわずか6歳で即位し、翌年には山海関を抜いている。どう考えたって摂政王のドルゴンやダイシャンが実権を握っていたとしか思えない。そう考えると『中原の虹』で語られるホンタイジの死にまつわる解釈は、それなりになるほどなぁと思えてくるのだ。という訳で気になる方は御一読を……。
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